イベント参加報告
2015年学会・研究会・セミナー参加報告
2015.11.02
第43回日本放射線技術学会秋季学術大会に参加して
* いざ金沢へ!
2015年10月8日(木)から10日(土)まで金沢市文化ホールにてJSRT 秋季学術大会が開催され参加をしてきましたので、その報告をさせて頂きます。
私自身、5年前まで金沢大学大学院の博士前期課程に社会人大学院生として在籍しており、金沢を訪れるのはそれ以来であり、大変懐かしく感じました。当時は 当然新幹線などもなく、夜行列車や特急を使いながら半日以上時間を掛けて通学していたのを思い出します。新幹線のお陰で東京からわずか3時間弱でアクセス でき、前日の仕事終わりであっても新幹線に乗れることに感動を覚えながら金沢入りをしました。
* 診断参考レベル元年
今年は、日本の診断参考レベル(DRLs)元年ということもあり、DRLsに関するシンポジウム、講演、演題発表が多数あり、どのセッションも多くの人が詰めかけ、熱い議論がなされていました。私自身もこの分野に関しては興味があり研究も進めているので、今回の学会で新しい収穫を多く得ることができました。しかしこのDRLsに関しては、医師のみならず、実際に現場で撮影を行う技師であっても、正しい理解がなされておらず、どのように運用したら良いのか混乱を生じているのが現状であり、今後このユーザー会を通じて情報を共有していくことが重要であると感じました。
*教育講演(専門部会プログラム)
もう1つ私が興味を持った講演に、撮影部会と医療情報部会の共催で企画された専門部会プログラムがありました。「医用画像の新たな活用」というテーマで、京都大学の呼吸器外科の陳豊史先生の「呼吸器領域における3D画像や3Dプリンタを用いた診断治療支援」という教育講演を拝聴しました。陳先生は、2014 年に左肺の移植が必要なレシピエントに、ドナーの右肺の一部を左肺として移植する世界初の生体肺移植手術を成功させた高名な先生で、当時は大きく報道されたことは皆さんの記憶にも新しいことと思います。講演では、手術に至る経緯やプラニング、そして生体肺移植の今後の展望などを話してもらいました。ドナーの右肺をレシピエントの左肺に移植するため、肺を表裏反転させる必要があり、その際に肺動脈、肺静脈、気管支の位置関係が変化するため、3Dプリンタを用いて模型を作成し、手術のプラニングを行っていたとのことです。模型の作成には、CT撮影によって得たボリュームデータを利用し、我々診療放射線技師の仕事が大きく関わっていることを実感しました。本学会のテーマが「All you need is Rad. (Radiology) -活かし、活きる、放射線技術-」ということであり、まさしくテーマに沿ったお話を聞くことができました。3Dプリンタの登場のように新しい技術革新により、診療放射線技師やCT撮影の在り方も変化すると思われますので、今後もスキルアップをしていかなければと感じました。
*最後に
当ユーザー会の梁川監事と高木代表が中心となり、「X線CT撮影における標準化~ガイドライン GuLACTIC~」の改訂が進められ、新たに「X線CT撮影における標準化~ GALACTIC~」が叢書として発刊されました。学会場でも叢書が販売されており、私もお土産としてゲットしてきました!各撮影プロトコールが非常に詳 しく記載されており、CT初心者からエキスパートまで幅広く活用できる内容です。ぜひ皆様の手元にもいかがでしょうか?
国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 放射線部 川内 覚