イベント参加報告

2025ユーザー会参加報告

2025.04.04 New!

首都圏キヤノンCTユーザー会 2025 参加報告

2025222()に首都圏キヤノンCTユーザー会 2025 Hybridが開催されましたので、参加報告をさせて頂きます。今回のユーザー会は、キヤノンメディカルシステムズ首都圏支社での現地会場とWeb配信のHybrid開催、さらに終了後のオンデマンド配信と、個人のスタイルに合わせて参加しやすい形態をとっていました。全国から600名を超える登録があり、キヤノンCTのユーザー層の広さと高い関心が感じられました。

SAVE THE FUTURE ~次世代につなぐキヤノンCT最新技術と小児CT撮影~」というテーマのもと、今回のユーザー会はキヤノンメディカルシステムズからの最新情報提供、そして様々な施設のCTスペシャリストによる7つの講演と盛りだくさんの内容でした!



☆ プログラム ☆

キヤノンの最新情報紹介


【ユーザー講演】

両下肢動脈造影CT検査におけるAiCE使用について

Aquilion Serveによる胸部検診の運用と使用経験

Aquilion One / INSIGHT Editionの使用経験-機器更新後の変化-


【基調講演】

Aquilion One/INSIGHT Edition この装置がばい良かよ


【世話人企画シリーズ】

キヤノンメディカルシステムズの小児CT検査への取り組み-小さな体に大きな安心を-

世話人施設による座談会「小児CT〈基本編〉」を紹介します!


【特別講演】

こんな画像がこどもを救う ~優しさと厳しさと~



ユーザー講演 座長:国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 川内 覚、神奈川県立循環器呼吸器病センター 太田 陽一郎
ユーザー講演 座長:国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 川内 覚、神奈川県立循環器呼吸器病センター 太田 陽一郎

最初は、キヤノンメディカルシステムズから最上位機種であるAquilion One / INSIGHT Editionを中心とした最新技術の紹介がありました。装置性能として特に印象に残った特徴は、Rotation time0.24 s/rotX線管の回転速度、そして寝台の移動速度向上により450 mm/sの高速Helical scanを実現している事です。日々の臨床業務において患者さんの体動や体内臓器の生理的な動きは撮影者にとって最大の敵の一つではないでしょうか。Aquilion One / INSIGHT Editionは、従来の装置では動きへの対策が困難であった症例等にもアプローチ出来る素晴らしい装置であると感じました。一方で我々診療放射線技師はそういった最新技術に頼りきりになるのではなく、その装置特性を理解し、撮影の振り分け・技術によるトラブルの発見等、最新装置を臨床に最大限貢献できる工夫を考えていかなければいけないと思います。

複雑化する撮影・再構成技術に対して、これまで以上に臨床で撮影を実施する一人として担当アプリケーションの方々と綿密な関係構築が築くことが出来たらと感じます。


メディカルスキャニング府中 宮本 寿久 先生
メディカルスキャニング府中 宮本 寿久 先生

ユーザー講演である、「両下肢動脈造影CT検査におけるAiCE使用について」では、AiCE-iの応用事例として2断面Test Injectionによる下肢CTA撮影技術の紹介がありました。大血管から末梢血管までを描出する考えのもと、横隔膜直上レベルでのReal Prepと膝窩動脈レベルでのDy-volumeを併用した撮影技術は、撮影者の経験や感覚に依存せずに適切なタイミングで下肢血管を撮影出来る技術です。AiCE-iによるdenoisingに加えてCE Boostにより造影効果を高める処理も利用することで、Originalの画像と比較して大きく血管描出能が向上していました。

JR東京総合病院 岡﨑 孝晃 先生
JR東京総合病院 岡﨑 孝晃 先生

「Aquilion Serveによる胸部検診の運用と使用経験」では、AIカメラによる自動ポジショニング機能を最大限に生かし、胸部スクリーニングの撮影予約枠3分という驚きのスループットの検査の紹介がありました。予約枠の時間短縮の取り組みとしては、自動ポジショニングで利用するAIカメラの自動認識位置までしか寝台を下げず、ステップを利用して胸部検診を行っているとのことでした。また、気になる自動ポジショニングの精度ですが、普段の臨床撮影ではほとんどの症例で問題なく撮影が出来ていると報告がありました。

国立国際医療研究センター病院 相澤 功 先生
国立国際医療研究センター病院 相澤 功 先生

ユーザー講演の最後のプログラムである「Aquilion One / INSIGHT Editionの使用経験-機器更新後の変化-」ではAquilion One / INSIGHT Editionの導入により、どの様に撮影・ワークフローが変化したか詳細な報告がありました。特にSilverBeam Filterを用いた低線量ヘリカル3D Landmark Scanによる位置決め画像についての報告は興味深く、位置決め画像から本スキャンのプロトコル変更に至った症例提示がありました。個人的には位置決め画像から3D画像が取得出来ることで、本スキャン前に息止めが可能かどうかの判断、それによる高速撮影の選択、本スキャン息止め不良時の肺野評価の予備画像としての役割等、この 3D Landmark Scanについては大きな可能性を感じさせられました。

佐賀大学医学部附属病院 田北 諭 先生
佐賀大学医学部附属病院 田北 諭 先生

基調講演では「Aquilion One/INSIGHT Edition この装置がばい良かよ」というタイトルで装置のがばい魅力が詰まった講演がありました。撮影者が気になる装置の実効管電圧については、Aquilion One / INSIGHT Editionでは線質は他装置と比較して高い(硬い)そうです。

CLEAR Motionの報告では心臓の動きによるモーションアーチファクトの改善だけでなく、大動脈弁の動きの改善等、注意深く普段から画像を観察していないと実感できない知見を知ることが出来、大変勉強になりました。先述した3D Landmark Scanの応用事例として尿路結石の残石評価やチューブ位置確認での報告があり、特に高コントラスト物質に着目した撮影では、今後の発展が大きい技術なのではないかと再認識しました。


基調講演 座長:亀田総合病院 小野 雄一朗、杏林大学医学部付属病院 安達 卓哉
基調講演 座長:亀田総合病院 小野 雄一朗、杏林大学医学部付属病院 安達 卓哉

また昨年末に開催された「画論32nd The Best Image」にて、Aquilion ONE(心血管部門)の最優秀賞を受賞した4D Bolus tracking法の詳細についても話を頂きました。腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術後のエンドリークのType分類に非常に有用であり、自施設でも取り組んでみたい技術であると感じました。今後この4D分野で田北先生より次なる一手となる4D■Bolus tracking法の報告もあるそうなので、乞うご期待です(■は本ユーザー会では秘密でした)。


世話人企画・特別講演 座長:東京女子医科大学附属八千代医療センター 福田 幸太郎、順天堂大学医学部附属順天堂医院 工藤 晃
世話人企画・特別講演 座長:東京女子医科大学附属八千代医療センター 福田 幸太郎、順天堂大学医学部附属順天堂医院 工藤 晃

世話人企画シリーズでは本ユーザー会のテーマにもなっている小児撮影について、キヤノンメディカルシステムズからCT小児撮影に対するアプローチについて報告がありました。DRLs2020では特に小児の診断参考レベルの見直しがされているため、普段CT業務に携わっていない撮影者にとっては悩みの種になることと思います。これに伴いキヤノンメディカルシステムズの装置では、各年齢で最適なプロトコルをデフォルトで実装しているとの事でした!キヤノンCTアカデミー等でも撮影技術について、明日から使える耳寄りな情報発信もされているとのことなので、筆者も積極的に参加しようと思いました。

聖マリアンナ医科大学病院 小川 泰良
聖マリアンナ医科大学病院 小川 泰良

また、「世話人施設による座談会「小児CT〈基本編〉」を紹介します!」のコーナーでは、施設ごとに考え方や取り組みが異なる小児撮影プロトコルに対して、受講者参加型のディスカッション(アンケート)が行われました。アンケート結果は、小児プロトコルは「X線CT撮影ガイドライン〜GALACTIC〜」を元に作成している施設が多いとのことでした。首都圏キヤノンCTユーザー会に会員登録をすることで、過去の座談会の資料も含め閲覧可能であるとのことなので、まだ会員登録されていない方は是非!

東京都立小児総合医療センター 河野 達夫 先生
東京都立小児総合医療センター 河野 達夫 先生

特別講演では、「こんな画像がこどもを救う ~優しさと厳しさと~」のタイトルで河野先生より講演がありました。非常に熱量の高い講演であり、私自身撮影のモチベーションがさらに上がる内容でした。「優しさ」の部分については、検査の説明動画やアメニティへのこだわり等細部に至るまで、河野先生の施設での取り組みを紹介頂きました。子供の目線からの検査室の見え方等は、小児撮影を行う上で撮影者は必ず知っておくべき視点だと思います。興味のある方は都立小児総合医療センターのYouTube動画をご覧になることをオススメします。頭部の固定において、「おでこにハチマキをつける」といった表現はとても勉強になりました。

「厳しさ」についてでありますが、ここが撮像技術面において非常に重要となる内容でした。全て重要な内容でしたが、本レポートでは特に撮影技術について一部記載したいと思います。先生の施設では全例プレチェックを行っており、撮影条件(SD/Prepの設定詳細等)から後処理に至るまで、一検査毎に詳細な指示を出しており、小児撮影に対する情熱(厳しさ)を感じることが出来ました。各症例の撮像条件の紹介を経て感じたことは、症例に応じて適正な線量が大きく異なるということです。診療放射線技師の立場としては、画像を提供する医師へ積極的に撮像条件の検討とディスカッションを持ち掛けるべきだと思いました。また、各症例の特徴を理解してどのような画像を作成するか、ここが特に技術と知識の見せ所との話があり、私自身の勉強不足を感じると共に、今後の勉強会や学会への参加のモチベーションとなりました。最後にはDECTの応用症例の紹介もあり、特にBone Marrow Imageによる骨髄浮腫の描出は感銘を受けました。

Take Home Messageとして「質の高い検査を見せればオーダーを変える力がある⇒その力を信じてほしい」という金言を頂きました。自分たちの仕事でどれだけ臨床に貢献できるのか今回の講演を拝聴した受講者全員が胸に刺さる言葉だったと思います。


今回のユーザー会では3時間30分を超える時間となりましたが、どの講演も大変興味深く時間があっという間に感じました。このユーザー会を準備して頂いた首都圏キヤノンCTユーザー会の関係者の皆様、キヤノンメディカルシステムズスタッフの皆様、そして講演頂いた先生方には、とても充実した時間を共有させて頂けたことに深く感謝申し上げます。

今回は、オンライン参加でありましたが、次回は現地で参加して楽しみたいと思います!


文責 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 鈴木康平

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