イベント参加報告
2018年学会・研究会・セミナー参加報告
第46回JSRT秋季学術大会 参加報告2
第46回日本放射線技術学会秋季学術大会が10月4日から3日間にわたり仙台にて開催された。
『杜の都』仙台とよく耳にするが、この名の由来は郊外の自然だけでなく都市部にも街路樹などの緑が多いため!と教えて頂いた。その他にも学術や音楽にも力を入れていることから「学都仙台」や「楽都仙台」といったキャッチコピーも存在する。
そんな素敵な仙台で開催された学会に参加する事が出来たので報告する。
まず初日、朝一から行われたシンポジウムに参加した。「チーム医療で臨む医療放射線防護の実践」というテーマのもと、診療放射線技師だけでなく医師、看護師から様々な経験や工夫について聞くことが出来た。シンポジストの診療放射線技師からは、「放射線による脱毛のしきい値ってなんだろう?」と考えさせられる報告があった。放射線による一時的脱毛のしきい値は4Gy(ICRP Publication 118)と知られているが、IVR後の装置表示値および実測値の双方がしきい値以下であってもIVR後の追跡調査を行った結果、多くの症例で脱毛が認められたことが報告された。しきい値以下だから安全と決めつけるのではなく、被ばく線量管理の重要性と放射線防護の必要性を改めて感じる事ができた。
また、IVRを専門とする看護師からは、「放射線被ばくに対する患者さんの不安を解消させるために看護師も放射線防護について深く理解する必要がある」と放射線防護に対する真摯な取り組みや、後進の育成に対しては「教育は連鎖する」といった強い使命感が語られた。IVRに携わる看護師さんの意識の高さに感銘を受けた。IVR専門看護師さんは「凄い!」と感じた。
2日目は、東北大学病院の茅野先生のランチョンセミナーに参加した。講演内容は造影CTにおける留意点として、穿刺の際に発生するAir embolismに関する報告であった。Air embolismとは、これまで学会等ではAir bubbleと称して用いられており、1つまたは複数の気泡が静脈もしくは動脈に迷入することを指す。過去の報告では造影CTによるAir embolismの発生頻度は7~23%とされていたが、茅野先生らの他施設共同研究では、心電同期の薄いスライス画像(過去の報告は非同期の厚いスライス画像)を用いて調査を行った結果、Air embolismの発生頻度は55.3%となっていた。このAir embolismの原因のひとつとして、チューブ接続時におこるAir迷入が考えられるが、この対策として三方活栓とシリンジを用いてチューブ内のAir回収手技を行う事でAir embolismの発生頻度を低下させる事が可能である。そのために医師・看護師を含めた教育体制が大切と学ぶことが出来た。稀ではあるが、シャント疾患の存在により右心系に迷入したAir bubbleが左心系に迷入することにより、脳梗塞を発症する危険性があるため、茅野先生の施設では左心系にAir bubbleを見つけた際は、トレンデレンブルグポジション(仰臥位・頭低位・腰部高位)で3時間安静後に帰宅させるといった対策を講じている。
(余談だが、さっそく自施設の冠動脈CT画像を確認すると、やはりAir像が存在していた。(画像参照)当院でも早急にAir回収手技を造影CT検査にて導入したい。)
2日目は午後に行われたZIOのハンズオンセミナーにも参加した。札幌医大病院 原田先生による『肝切除術前3DCT』では、解剖・撮影について解説があり、その後の3D作成においては実機を用いたテクニックを拝見することができた。
なかでも肝臓のVolumetryにおいて肝臓体積を過大評価しないためのテクニックは非常に参考になった。
札幌南三条病院 平野先生による『手術支援のための肺動静脈分離』では、動静脈分離のポイントと手術支援のために有用な画像の見せ方について丁寧に説明があり、こちらも非常に参考になった。
学会の楽しみである夜会にも参加した。『大人のCT倶楽部in仙台』!!
こちらも学会場同様、非常に盛り上がり、お酒の勢いもあって、発表されていた演者や座長に直接お話を伺えたのは、本当に貴重な機会となった。誰でも参加可能な会ですので、次回はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
以上、秋季学術大会の報告とする。
平塚市民病院
藤代 渉