イベント参加報告
2018年学会・研究会・セミナー参加報告
第34回日本診療放射線技師学術大会 参加報告2
第34回日本診療放射線技師学術大会が平成30年9月21日~23日、「国民と共にチーム医療を推進しよう— 時代の潮流を見極める —」という大会テーマで山口県下関市にて開催されました。会場は海峡メッセ下関ならびに下関市生涯学習プラザで、JR下関駅から歩いて約10分です。
初日は小雨の中、午前中は画像等手術支援分科会主催のハンズオンセミナーに後輩と一緒に参加してきました。ハンズオンセミナーでは、Ziostationを実際に用い、野水先生からは踵骨、手関節、股関節の3D画像作成テクニック、平野先生からは脳表描出、CTとMRI(脳神経)のフュージョンといった術前3Dシュミレーション画像作成テクニック、富田先生からは肝細胞癌症例における動脈、門脈、腫瘍等の3Dフュージョン画像作成テクニックについて講義していただきました。
午後は日本放射線技師教育学会主催の「自律した行動がとれる診療放射線技師の育成について」という企画に参加しました。診療放射線技師の卒後教育への取組みや診療放射線技師学校養成所指定規則等の見直しに関する進捗を聴講することができました。CT検査の知識や技術と違い、こういった企画内容に興味があるのは管理職や中堅、そして、学校関係者ばかりかと思っていましたが、周りを見渡すと、CTの重鎮がたくさん参加しており、関心の深さが伺えました。
2日目の午前中はX線CT検査の一般演題を聴講しました。演題の中で特に興味をもったのが、市川先生(倉敷中央病院)の「頭部CT perfusionにおける自作ソフトウェアを用いた体動補正処理の臨床的有用」という発表でした。大学院を卒業した若手にも関わらず、自作プログラムにより体動補正処理のソフトウェアを作成し、Perfusion Mapに対するスコアの解析精度を向上させたという素晴らしい研究報告でした。
昼のランチョンセミナーでは、鰐渕先生(札幌医科大学)による「良好な技師-医師関係が手術支援画像を変える」という講演を後輩と一緒に聴講しました。3D画像カンファレンスなど札幌医科大学での取組みを医師側からの視点で聞くことができ、とても参考になりました。
午後のスイーツセミナーでは、望月先生から線量管理ソフト(アゼモトメディカル)の使用経験について聴講しました。当院でも線量管理ソフトを導入していますが、今後の医療放射線に関する適正管理に対し、より対策を講じなくてはいけないことと、CT撮影プロトコルを線量管理ソフト上でどのような標準プロトコルとタギングするのか?あらためて課題を再認識することができました。
3日目の朝は、日本診療放射線技師会主催のモーニングランに後輩が参加するため、朝の6時に学会場に集合しました。当初、スタート時の写真を少し撮って帰ろうと思っていたのですが、いつの間にか走らざるを得ない状況になってしまいました(汗)。しかし、1km程走ったところで、ロケーションが良くなってきたので、少しずつフェードアウトし最後尾で写真を1枚パチリ!!そして、皆さんを見送りながらそっと離れました。
3日目は、後輩と私のポスター発表がありました。全くCTとは関連ありませんが、現在の国内での労働者のうち、約60人に1人が外国人労働者であること、また、当院では毎月約1500人の外国人患者が訪れること、そして、3名の外国籍診療放射線技師が在籍していることから、「外国人患者対応」「外国人実習生受入体制」「外国籍診療放射線技師のキャリア形成」についてポスターを発表しました。
日本放射線技術学会では各モダリティに特化した専門知識や技術に関する多くの研究発表を学ぶことができ、日本診療放射線技師会ではモダリティだけでなく、教育や医療安全対策、業務拡大、マネージメント、診療報酬など幅広い話題についても学ぶこともできます。どちらか一方だけしか参加しないというように壁を作るのではなく(本大会特別講演での吉田松陰先生の思想より)、個人のキャリア形成(テクニカルスキル、ノンテクニカルスキル)を考え、適時学会に参加することこそが学ぶ姿勢だと痛感しました。
来年の第35回 日本診療放射線技師学術大会は埼玉県大宮で開催されます。皆さんも是非参加してみてください。
順天堂大学医学部附属順天堂医院
木暮 陽介