イベント参加報告

2018学会・研究会・セミナー参加報告

2018.02.26

TMSC 最前線CTセミナー2017 in 首都圏 参加報告

2017年11月11日(土)ベルサール東京日本橋にてTMSC 最前線CTセミナー2017 in 首都圏が開催された.


講演が4演題,特別講演が2演題のどの講演も最新のCT装置および周辺機器やアプリケーションを使用した興味深い内容であった.

講演1は,GENESISの使用経験について新規導入施設で以前のCT装置から飛躍的に進歩した最新のCT装置の報告が行われた, PURE ViSION Opticsによる被ばく線量の低減,Full逐次近似再構成FIRSTによる画質の向上とさらなる低線量での撮影の可能性,ガントリチルト,寝台左右移動,撮影範囲を示すレーザーなどユーザの使いやすさが向上して点など最新装置の優位性を伝えていた.


講演2は,脳梗塞の急性期における 4D Volume Scanの利用についての講演であった.発症後4時間以内の片麻痺患者に対してADCT Aquilion Oneの特徴であるVolume Scanをもちいて脳のparfusion撮影を行うことにより,短時間に最大限の情報を得ることが可能となり最短時間で脳梗塞の治療に入れるというものである.今後,血栓回収を行う手技が普及してくればさらに4D Volume Scanの機会は増えることが予測される.


講演3は,Dual Energy CTの頭部領域への応用の講演であった.Dual Energy CTの解析が最新の機種ではlaw data baseで行われるようになり精度が高くなった点とそれに伴いアプリケーションが新しくなり臨床応用の幅が広がった.Dual Energy CTの頭部領域への応用は今まであまり行われておらず,脳の疾患に大変有用で今後のさらなる発展が期待される.


講演4は,CT FFRの使用経験の報告であった.Vitrea Workstationには多彩なアプリケーションが搭載されているが,CT FFRは東芝メディカル(現キヤノンメディカル)との共同開発が行われており先行しての報告であった.現状FFRの解析は専門の会社に依頼するため病院内で行うことができないが,病院内のワークステイションにこのアプリケーションが搭載されれば短時間でFFRの解析が可能となる.早期の普及が望まれる.


特別講演1は,Precision CT 装置の臨床と運用について,杏林大学の町田先生の講演であった.高分解能CTの性能は驚異的であり診断の基準が変わってくるものと考えられる.しかし,装置の特性を生かすためには,マトリクスサイズ,スライス幅,焦点サイズ,逐次近似の画像処理などの組み合わせが多数あり,臨床のニーズに合わせ画像を提供するために試行錯誤しているところである.高分解能という新たなステージでADCTが出た時と同様に圧倒的なパフォーマンスをどのように発展させていくのか期待が深まった講演であった.


特別講演2は,救急での2room Angio-CTの使用経験を済生会横浜市東部病院の船曳先生が講演された.装置の導入に際し部屋のレイアウトに工夫しCTを活用するというものである.CTガントリは瞬時に隣部屋からレールの上を移動し,救急初期診療におけるAngio CTのメリットと機器運用の経済性を両立しハイブリッドERのさらなる普及モデルケースとしての提案である.今後,医療資源の活用は装置導入時の際重要事項でもあり同様なモデルの導入が進むものと期待される.


以上,大変興味深い最新のCT技術の講演であった.先行施設は装置の導入から臨床へ大変ご苦労をされている様子が伺えた.惜しげもなく貴重な情報を提供していただいた演者の皆様に感謝するとともに今後益々の発展を期待しTMSC 最前線CTセミナー2017 in 首都圏の報告とさせていただきます.


山梨大学医学部附属病院 相川良人

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