令和2年12月12日(土)第4回超高精細CT研究会が、Web配信にて開催されました。勤務先の感染対策により、新型コロナウィルス(Covid-19)感染症による流行地域への移動を制限されていますのでWebでの参加となりました。代表幹事が冒頭のあいさつで述べられたように、場所にとらわれず参加することができました。企画・運営・講演をされました関係者の皆様に感謝する次第です。

「超高精細CTとSEMARによるメタルアーチファクト低減」について、藤田医科大学の辻岡先生が発表されました。ファントム実験において、金属アーチファクト低減技術SEMARと超高精細CTの組み合わせにより、金属アーチファクト周囲のアンダーシュートの部分が改善されました。HR、SHRモードにより今までアーチファクトで見えなくて当たり前とされていた部分の描出が可能となったことは、臨床での超高精細CTの使用法の一つとして考慮すべき選択肢となることが示唆されました。

続いて「超高精細CTの焦点サイズと面内位置に依存した解像特性評価」について、静岡県立静岡がんセンターの瓜倉先生が発表されました。ガントリーの中心(回転中心)から離れていくと画像が劣化することが知られています。超高精細CTでも各モードに同様の現象があり、特に回転中心から離れた位置での解像特性の低下が顕著であるが、AiCEにより、空間分解能を改善できることが示されました。アダムキュービッツなどの微細な血管を描出する場合、回転中心にポジショニングする工夫などの説明がありました。

次に「スクリーニング大腸CTにおける超高精細 CTの有用性」について、大原綜合病院 画像診断センターの鈴木先生が発表されました。スクリーニングでの大腸CT検査は増加していますが、平坦型病変や大腸鋸歯状病変の評価が難しく、原因として不完全な前処置による残渣との判別が課題とされています。今回簡便な前処置による大腸CT検査を、超高精細CTによりNR・HRモード以上にて撮影し、大腸解析ソフトを用いて解析を行い腸管内外の所見について発表していました。微細な隆起成分がHRモード以上の画像では、微細に影が付くため認識しやすくなったことと、MPR画像では残渣・残液を標識する造影剤の標識能が向上し、壁内腫瘤の造影効果により残渣と病変の判別が可能となりました。今まで見えていなかった腸管壁内部の造影効果など注目する点がありました。

基調講演(技術講演)は「超高精細CTを使用した頭部CT angiographyでみえてきた『〇〇mmの血管との出会い』」と題して、東北大学病院の茅野先生が講演されました。〇〇mmとはどんな事だろうとキャッチ―な演題名に期待が膨らみました。超高精細CTの実行エネルギーがやや高いので、実際に120kVと140kVのX線管電圧によるファントム実験の結果を示していました。実験結果より120kVでの撮影を選択し、微細な前交通動脈穿通枝の描出にはAquilion ONEよりアドバンテージがあることを報告していました。術前の微細血管の描出により術後の還流異常による合併症を防ぐことが可能であると大変有益な講演でした。

特別講演1は「Aquilion Precisionの胸部領域における臨床有用性」について、神奈川県立循環器呼吸器病センターの岩澤先生が講演されました。超高精細CTは、末梢気管支の描出能に優れており、間質性肺炎の細部(末梢気管支)がどのように変化し、それが画像でどのように描出されているか症例画像を供覧しました。1024×1024画像は細部が病理画像と比較できるほど描出が優れている点を強調していました。また、COVID-19肺炎や特発性肺線維症の症例についても、超高精細CTは微細な末梢構造を描出できそれぞれの画像の特徴を詳しく解説していただきました。

特別講演2は「腹部超高精細CTにおけるノイズ低減への挑戦、そしてその先へ」は、国立がん研究センター中央病院の曽根先生が講演されました。超高精細CT は画素数が増え、撮影時の検出器の厚さも薄くなりノイズが増加する要素が沢山あります。特に低コントラスト領域で画像診断を行う腹部領域では厳しい条件がそろっています。AiCEを使用したノイズと線量を低減した超高精細CTの腹部検査は、再構成時間やテクステャーの変化などに縛られず診断価値の高い画像を得ることが出来ることを、乏血性肝転移、膵がんの超高精細CT画像を従来画像と比較しながら供覧しました。膵がんの神経叢浸潤、小径膵がんの症例画像を示し、圧倒的な細部の描出により今まで経過観察に回っていた症例についても早期診断ができると超高精細CTの有用性を示していました。

感染拡大防止のためYouTubeによるLive配信により第4回超高精細CT研究会に参加しました。現地での直接な情報交換ができないのは残念ですが、場所を選ばず情報を得ることができることは地方に住んでいると大きなメリットに感じます。どの演題も超高精細CTの特徴を踏まえた有益な講演内容であり、大変興味深く勉強させてもらいました。当院にもいよいよ令和2年度中には超高精細CTが導入されます。どんな未来が待っているのか今から楽しみです。

山梨大学 相川 良人