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2019年12月21日(土)に東京都中央区築地の国立がん研究センター中央病院新研究棟にて,第3回超高精細CT研究会が開催されました.研究会のネーミング通り,超高精細CT = Aquilion Precisionに特化した研究会である.代表の国立がん研究センター中央病院の石原先生の冒頭の挨拶で「非常に多くの方に参加いただき・・・」とありましたが,やはり保有している施設が少ないこともあり(国内29台),参加者は「非常に多く」はなかったかな・・・??.しかし,研究会の発表や講演は「さすが,超高精細CT」という内容ばかりで,とても楽しい研究会でしたので参加報告をさせて頂きます.

研究会は,企業発表,一般演題1(5演題),一般演題2(5演題),基調講演,特別講演で構成されていました.まず,企業発表では北米放射線学会(RSNA)で公開されたAquilion ONE PRISMが紹介された. Deep learning ReconstructionのAdvanced intelligent Clear-IQ Engine (AiCE)がVersion 10となり全部位に対応したことや, Spectral Imaging SystemによるDual Energy撮影にについて報告があった.この新しいDual Energyシステムは,320列のVolume Scan,最大160列のHelical Scanに対応していることに加え,CT-AECも使用可能なことから,日常臨床においてもDual Energyを適応しやすいシステムである.詳細は,キヤノンメディカルシステムズのHPに特設サイトがあるので,興味のある方はご覧になってください.

https://jp.medical.canon/products/computed-tomography/spectral_imaging_system

Aquilion ONE PRISMは,新たな技術が多く投入されていることから,臨床での有用性に関する報告に期待したいと思いました.余談ですが,ガントリの塗装方法が変わって,Gloss Paintingになったと聞きました.艶々した塗装になったらしく,美しい仕上がりになったとか!!美しいだけでなく,ストレッチャーやベッドの衝突跡が残りにくい塗装であることを願いたいです.

一般演題1では,実効エネルギーとX線スペクトルの測定,PrecisionにおけるFIRST(Forward projected model-based Iterative Reconstruction SoluTion)とAiCEの画質評価,傾斜ワイヤー3本を用いた面内スライス厚測定,Precisionの画像に後処理としてImage -based Iterative Reconstructionを行った際の画質評価,テクスチャー解析における不均一性に関する定量評価について発表が行われた.すべての発表で共通していたのは,大幅に解像特性が向上していることに加え,画像再構成方法もFBPからAIDR-3D,FIRST,AiCEと多くの選択肢があるPrecisionの特徴を客観的に捉えるために,基礎となる評価をしっかり行っている点であった.また,従来からの画像解析手法ではPrecisionの性能評価が困難となるため,傾斜ワイヤーによる面内スライス厚の測定方法や,テクスチャー解析における不均一性の評価など,新しい評価方法についても知恵を得ることが出来て,大変有意義であった.

一般演題2では,臨床におけるPrecisionの高精細な画像の有用性に関する発表が行われた.臨床例を多く提示いただいて感じたことは,やはり「よく見える」である.Precisionがリリースされてから何度も高精細な画像を見てきたが,これまで解像度が不足していたため見えていなかった微細な構造が描出されていることには毎回驚かされる.前交通動脈から起始するSubcallosal Arteryの描出,上顎洞がん動注化学療法術前のCTAによる微細な栄養血管の描出,解像特性の改善で舌癌術前の腫瘍深達度診断など,やはり超高精細CTのポテンシャルの高さが成せる技であると感心する内容であった.また,ファントムを用いた臨床の基礎検討では,冠動脈プラークの評価や末梢気管支の描出に関して報告が行われ,プラークのCT値の精度向上や末梢気管支の描出能向上など,有用性が示された.

基調講演では,広島大学大学院の檜垣先生より「超高精細CTの物理特性」について講演された.檜垣先生のご講演では,まずAiCEの再構成に関する技術的な解説が行われた.AiCEについてはキヤノンからの情報提供がほとんどであったが,研究者である檜垣先生からの解説は一歩踏み込んだ内容であり興味深かった.つづいて,FIRSTとAiCE,AIDR-3Dの物理特性について解説して頂いた,線量及びコントラストが異なる条件下では,FIRSTとAiCEでは特性が異なってくることをお示し頂き,ユーザーが慎重な適応を考える必要があることを理解することが出来た.講演の中で,AiCEが Deep Learningを行う元画像についてお話があったが,これが判るとノイズに強いAiCE,解像度が優れるFIRSTというのも理解し易いのではないかと思った.(元画像についての檜垣先生のコメントは,今回は内緒で!!ごめんなさい)

本来であれば,国立がん研究センター中央病院の曽根先生の特別講演の内容まで報告したいのですが,家庭の事情もあり途中で会場を後にすることになりました.報告できないことをお詫びいたします.

色々書かせて頂きましたが,当院にPrecisionはありませんし,購入の予定もありません.おそらく今回の研究会で得たものは,すぐに自身の施設で役立つことはない.しかし,最新の高性能な装置が,近未来を写し出してくれていると信じて参加させて頂きました. 皆さん,「百聞は一見に如かず」です.高解像度のCT画像を見たい方は,是非ご参加をご検討ください.

2020年度は,12月26日に開催される予定です.詳細が決まりましたら首都圏ユーザー会のHPでもご案内させて頂きます.

 

千葉市立海浜病院 放射線科 高木 卓