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2020年1月18日,国立がん研究センター研究棟にて,第1回 Rise Up CT Conferenceが開催されました.現在のCT技術はADCT,超高精細CT,Spectral Imaging,Deep Learning Reconstructionと日々進歩しています.私たちはその技術の進歩に追従するだけではなく,主体的・先進的に使いこなすことが大切です.その一つの形態として,「奮起し立ち上がる」という意味が込められ,このRise Up CT Conferenceは立ち上げられました.その記念すべき第1回に参加しましたので,報告をさせていただきます.

 

当日は悪天候にもかかわらず100名を超える参加者が集まり,会場は大変賑わっておりました.プログラムは”ADCT : Aquilion ONE”,”超高精細CT : Aquilion Precision”,”Deep Learning Reconstruction : AiCE”,”Spectral Imaging System”について,メーカーからの技術解説を交え,それぞれの分野において最先端で活躍されている先生からのご講演がありました.また,特別講演のRise Up Lectureでは,聖マリアンナ医科大学 小林 泰之先生から医療現場における人工知能についてのご講演がありました.質疑応答も盛んに行なわれており,会場全体もまさに奮起 (Rise Up !) していたのではないかと思います.

 

”ADCT : Aquilion ONE” では石心会 川崎幸病院 石田 和史先生から脳卒中最前線CT Firstで目指すD2P (Door to Puncture) 30min !! と題して,発症4時間以内の片麻痺患者をCTのみで治療適応を判断し,来院から治療開始まで30分を目指しているというご発表でした.そのために医師や看護師,コメディカルが一丸となって対応する体制が整っており,画像検査ではMRIを使用せずにDynamic Volume Scanを活用し,短時間で検査・読影を終え,治療につなげることができるとのことでした.ADCTの利点を最大限に活用した取り組みは大変感銘を受けました.

慶應義塾大学 益田 翔太先生からはIVRにおけるGENESIS Editionの活用と題して,最新のIVR-CTを活用することで,DLR (Deep Learning Reconstruction) や低管電圧を使用し,被ばく及び造影剤使用量の低減が可能とのご発表でした.また,4DCTを使用することで目的とする血管や出血源を同定しやすくなり,手技時間も短縮できるとのことで大変魅力的なシステム・環境であると感じました.

”超高精細CT : Aquilion Precision” では,国立がん研究センター中央病院 石原 敏裕先生から超高精細CT研究会報告と題して,超高精細CT開発の経緯から超高精細CT研究会の活動報告,基礎物理データをご提示いただきました.超高精細CTはその特性に見合った正しい方法で物理評価を行わなければならないとのことで,今後の動向に大きな関心が向けられていました.今まで見えなかった微細な組織や構造が見えるようになり,今後の画像診断に大きな影響を与える装置であることが良くわかりました.

特別講演のRise Up Lectureでは,AIを活用することで早期にインフルエンザ濾胞の鑑別が容易になるというものでした.このように医療現場に様々なAI技術が普及していくと思われます.私も放射線技術だけではなく,AIなどの幅広い知識をもっと勉強していかなければならないと思いました.

”Deep Learning Reconstruction : AiCE” では,同信会 福岡整形外科病院 香月 伸介先生からAiCEが変える整形外科領域のCT検査と題して,整形領域におけるAiCEの活用法についてご発表がありました.AiCEの骨用パラメータであるAiCE Boneは骨部分の空間分解能が高く,軟部に関しても従来の関数と比較してノイズが低減されるという特性を持つため,VR画像も従来の軟部関数や骨関数よりも腰椎横突起などの抽出に優れているとのことでした.整形領域は今後もCT検査の活用が進むこと間違いなしの今後が楽しみな領域です.

東北大学病院 茅野 伸吾先生からは慢性血栓塞栓性肺高血圧症 (CTEPH) に対する超高精細CTによるDLR (AiCE) の活用についてご発表がありました.始めに多くの論文や各ガイドラインを用いて詳細にCTEPHについてのご説明があり,大変分かりやすく勉強になりました.このCTEPHの確定診断には観血的検査である右心カテーテル検査,肺動脈造影検査は必須とされていますが,超高精細CTを用いることで末梢肺動静脈の抽出,またAiCEを用いることで末梢肺動静脈内のwebsやslits病変の検出が可能になるとのことでした.さらに,Lung subtraction機能により肺血流シンチグラフィ同様の灌流マップ画像も取得可能とのことで,カテーテル検査を行わずともCT検査のみでCTEPHの評価が可能になることが期待される発表でした.

”Spectral Imaging System” では,広島大学病院 西丸 英治先生からDeep Learning技術を用いたSpectral Imagingの画像特性と臨床応用についてご発表がありました.Spectral Imagingの原理や高速kV Switching方式の欠点であったsparse viewによるview数の減少に対し,Deep Convolution Neural Network (DCNN) を用いることでrawデータを補正し,高いレベルでのノイズ低減が可能であることを知りました.また,Spectral Imagingの臨床画像を拝見し,物質弁別データや仮想単色X線画像の有用性を再確認いたしました.

杏林大学医学部付属病院 清水 裕太先生からは,Spectral CTの精度と臨床における初期経験と題して,二回転方式と高速kV Switching方式における実効原子番号と電子密度の測定精度の検証についてご発表がありました.測定精度に関しては二回転方式が高かったものの,高速kV Switching方式も遜色なかったとのことでした.スキャン方式の違いによる測定精度の検証は初めて拝聴したので大変勉強になりました.また,Spectral Imagingによる多くの興味深い臨床画像を供覧させていただきました.

 

今回,このConferenceに参加してCTの最新技術について非常に多くのことを学ぶことができました.当院には導入されていない技術や装置が多くありましたが,今後導入されたときに使いこなせるよう日々知識と技術の習得に励みたいと思います.

 

最後にこのような機会を設けてくださった関係者の皆様に感謝申し上げます.ありがとうございました.

 

 

聖マリアンナ医科大学病院

新田正浩