33th_外傷学会01令和元年6月6、7日に青森県八戸市公会堂「劇的空間」にて第33回日本外傷学会総会・学術集会が開催されました。今大会より、一般演題(ポスター形式)として『診療放射線技師関連セッション』が新設され、私も発表の機会を頂きました。私にとって大変貴重な経験となったため、診療放射線技師セッションのCTに関連する演題を中心に報告させてもらいます。

放射線技師セッションの全6演題中5演題がCT関連の演題でした。まず、聖マリアンナ医科大学病院の風間先生からは、「チームで挑むTrauma Radiology:診療放射技師としての取り組み」として、毎月1回の定期的な外傷全身CT撮影のトレーニングによりCT室滞在時間が約4分短縮し、現在は平均7分31秒という非常に短い滞在時間となっているというご発表でした。神戸赤十字病院の宮安先生は「外傷全身CT被ばく線量全国調査結果から算出した推定実行線量の報告」として、日本の外傷全身CTの実効線量(平均57.6mSv)は海外の報告(11~40mSv)と比較して高い傾向にあり、その原因は単純撮影を含む多時相撮影にあり、各施設において撮影方法の最適化を検討する必要性についてご発表されました。湘南鎌倉総合病院の清水先生は「重症四肢外傷における皮弁の穿通枝描出の検討」として皮弁形成術前の穿通枝動脈描出テクニックの一つとして、インジェクタの設定を生食→造影剤→生食とすることで、従来の造影剤注入時に存在する立ち上がり時間を回避し造影効果を高める事を目的とした注入方法の工夫についてご発表されました。次に私から「320列CTを用いたフレイルチェストに対する動体撮影の有用性」として、フレイルチェストの治療方針決定のためにAquilionONEによる4D-CTが有用であった事と撮影・画像解析の工夫について発表しました。最後に国立病院機構水戸医療センターの田中先生から「Applications of Dual-Energy CT in Trauma care」として、救急CTにおけるDEの利用は、造影剤検出効率の向上による診断能向上と、仮想単純画像を単純に置換することによる被ばく線量低減の可能性があるとご発表されていました。新設のポスターセッションであるにも関わらず、多くの技師・医師が参加されており、全ての演題に対して活発なディスカッションが行われました。終了後もポスター前で技師・医師を交えたディスカッションが続き、大変盛況なセッションとなりました。

放射線技師セッション以外にも診療放射線技師の発表がありました。腹部外傷の動画セッションにて済生会横浜市東部病院の稲垣先生は「Hybrid-ER 導入前後における動脈塞栓術までにかかった時間の検討」として、キヤノン製の2ルーム型ハイブリッドERシステムを導入したことにより、従来の初療室、CT室、手術室間の移動に要していた時間が省略され、手術開始までの時間が約40分短縮したことから、救命率向上が期待されると報告されました。またHybrid-ERシステムは、プライマリーサーベイとしてCTを利用する事により短時間で多くの情報を取得でき、さらにCT不使用時は部屋を分断し通常のCT室として運用することが可能であるためで、コスト面においても非常に優れたシステムであるとご発表されていました。

33th_外傷学会02その他にも多くの演題を拝聴してきました。テレビドラマを見ているような劇的な救命ばかりで、それに対して救急医だけではなく外科医、整形外科医、脳外科医、IVR医といった様々な専門医がそれぞれの視点で意見を交わす熱気に包まれた二日間を満喫することが出来ました。また、大会参加記念品がオリジナルのサバ缶(写真)であったことや、ランチョンのサテライトルームではせんべい汁と缶ビールが振舞われた事には驚きました。

次回の外傷学会は令和2年5月19、20日に仙台で開催されます。私も演題を用意して参加したいと考えています。

 

平塚市民病院

藤代 渉