2019年12月15日(日)に「画論 27th The Best Image」が開催されましたので、参加報告をさせてもらいます。今年は、大田区の下丸子にあるキヤノン株式会社の本社で開催されました。私自身はキヤノン本社に行くのが初めてでしたので、足を踏み入れてみると、本社の敷地の広大さや設備の豪華さに改めて驚かされて、この日は始まりました。IMG_2513

キヤノンCTユーザーであれば、知らない人はいないと思いますが、改めて画論について説明をさせてもらいます。各施設で撮影された臨床画像に対して、診断や治療に貢献したクオリティはもちろんのこと、患者さんの被ばくや負担をいかに軽減して、検査を行い画像を作成したかということを、審査員が総合的に判断して、賞を選定するというコンセプトの画像のコンテストになります。審査員には国内の著名な医師や診療放射線技師の先生が選ばれていますので、この画論で入賞するということは、ハードルは高いですが、大変名誉なことであると言うことができます。例年5月頃に募集が始まり、一次審査を経て、当日の最終審査を考慮して、最優秀賞が決定していきます。最終審査には、各施設から2名(殆どは医師と技師の組み合わせが多いですが)の演者が登壇し、臨床的価値や技術的工夫をプレゼンテーションしてきます。

この画論は、CTだけでなく、MRIや超音波についても応募・選定の対象となり、当日はモダリティ別にプレゼンテーションが行われていました。全てのモダリティについてプレゼンテーションを聞きたかったですが、私はやはりCTの会場に足を運ぶことにしました。

 

図1当日のプログラムとしては、午前中に上位入賞施設による発表及びディスカッション、ランチョンセミナーを行い、午後からは最新画像、技術に関する講演、その後最優秀賞、テクニカル賞の発表、夕方からは情報交換会という非常に盛り沢山な内容になっています。

午前中のCTのディスカッションでは、一次審査を通過した16の施設からの症例についてプレゼンテーションが行われました。どの施設も力作揃いで撮影技術から画像処理の方法に至るまで大変参考になるものばかりでした。

本来ならば印象に残った症例を1つ1つ紹介していきたいのですが、紙面の都合から1つのみ取り上げたいと思います。杏林大学医学部付属病院からの「心電同期dynamic volume撮影を用いた可動性プラークの描出」というタイトルの症例になります。概要としては、脳梗塞を発症した患者さんに対して、腕頭動脈起始部に付着した可動性プラークをAquilion ONEの2 beat 心電同期volumeスキャンを用いて明瞭に描出することができたという内容になります。先立って行われたヘリカルスキャンCTAや経食道超音波では検出ができず、この撮影が診断・治療の決め手となったとのことでした。通常、大動脈弓部のCTAはヘリカルスキャンで行われることがほとんどでありますが、敢えてvolumeスキャンを用いたことに、とても感銘を受けました。連続収集の4D撮影ではなく、意識障害や息止め不可という患者状態も考慮して撮影時相を2 beatとして被ばく低減に努めたことも審査員から高く評価されていました。実際この症例は、Aquilion ONE部門の最優秀賞に選ばれ、私自身の評価が審査員と一致したことにとても納得できたことが、印象に残っています。

他の最優秀賞、テクニカル賞、優秀賞については、キヤノンメディカルシステムズのHP(https://jp.medical.canon/News/thebestimaging_27th)に掲載されていますので、ぜひご覧になって頂くことをお勧めします。最優秀賞に選ばれた症例は、撮影技術や画像処理の工夫はもちろんのことですが、当日のプレゼンテーションも要点を得ており、とても分かりやすく、審査員や聴衆に訴えるパワーがとても大きいと感じ、今後の参考となりました。

 

ランチョンセミナーでは、キヤノンメディカルシステムズからRSNA2019の報告が行われました。CTのトピックスとして、最新のスペクトラルCTシステムを搭載したAquilion ONE装置が展示ブースに登場したとことが取り上げられていました。スペクトラルCTの詳細については、今回は割愛させてもらいますが、装置の名前が「Aquilion ONE PRISM Edition」と掲げられていました。RSNAに参加して実機を見た知人は、「PRISMというだけあって、ガントリーがとてもツヤツヤしていた」ということを言っていました。近いうちに日本でもお披露目となると思いますが、実際に目にするのがとても楽しみになりました。

 

午後の最先端技術に関する講演では、慶應義塾大学医学部の陣崎雅弘教授より「立位CT〜重力下の人体の可視化」というタイトルで、慶應義塾大学で開発が進められているキヤノン製の立位CTについてお話を聞くことができました。実際の画像やデータも目にすることができ、とても新鮮な内容ばかりでした。特に印象的であったのが、立位にすることにより、人体の解剖学的情報が臥位のときと比べ、大きく変化しているとのことでした。例えば、立位では上大静脈は細くなり下大静脈は太くなることがデータとして示されていました。これまでの解剖学で得られた知見は、いずれも人体の臥位での情報を基に蓄積されていますので、今後立位CT画像が新たな解剖学を構築する上で必要な情報であると発言をしていました。この立位CTはまだまだ研究段階でありコストダウンが課題となっているようですが、近い将来臨床機として登場することに期待したいと思います。

 

長文となりましたが、ここまでお付き合いして頂きありがとうございました。

例え最新・最上位機種を持っていなくても、ユーザーのちょっとしたアイディアや工夫次第で、大きく診断価値が向上すること思います。今回入賞したどの演者も「臨床の医師が何を求めているか」ということを最初に考え、自分たちにできることを導き出した結果が評価されたのだと思います。

また来年も画論は開催されるようですので、お読みになっているユーザーの方々も是非応募してみてはいかがでしょうか?

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 放射線部

川内 覚