いつもなら、「真夏の暑い日差しはCTサミットにこれから参加するという気持ちを盛り上げる恒例の・・・」いう書き出しになりますが、今年度2021年8月21日開催された第24回CTサミットはCOVID-19感染症の影響によりweb開催となったため、クーラーの効いた涼しい自宅でのweb参加による拝聴となりました。

 

第24回CTサミットは「生かせ!Volume Data 〜Future Technology for Surgical Support〜」をテーマとして掲げられました。

最初のシンポジウムでは「整形領域における質の良い“Volume Data”取得と“魅せる”画像のために」をテーマとして、解像特性の理解から始まり、ポジショニングとデータ取得法、そして得られたvolume data から魅せるMPR・3Dの作成まで網羅する形でのシンポジウムは、スムーズに入りやすく分かりやすい内容になっていました。目的とする撮影部位がガントリ中心から離れがちな整形領域は、画質が状況によって大きく変わってしまう場合があるため、一連の基本的特性をスタッフ全体で理解し、実践できるような教育・環境整備が重要であると思いました。診療科医師と一緒に評価することを前提にして、装置毎の物理評価と処理画像の作成を検討することが生かすデータ活用に繋がることを理解しました。

技術講演では「レンダリング技術の進展 Surface RenderingからGlobal Illumination (GIR) へ」をテーマにレンダリングの基礎からより立体感や質感を高めるための技術開発についてのご講演がありました。GIRは反射光が更に別の物体で反射して一定の閾値まで変化する過程をフォトンマップとして明暗を表現するという手法を取り入れており、これまでの3次元画像より高い実写感と質感を実現しているのが特徴であるとのことでした。GIRの有用性について、多くの情報提供が寄せられ広く活用が進むことが期待されていますので、臨床的有用性の高い活用方法がありましたら「画論」へエントリーしていただければと思います。

特別講演では帝京大学の杉本真樹先生により「医療現場のデジタル改革DX:VR/AR/MR/XR/ホログラム手術支援/オンライン遠隔医療」のご講演がありました。3Dへ再構築された画像を平面的な活用から現実の立体空間への活用することを医療現場の第一線で実践されている杉本先生のご講演は、期待と希望に満ちた素晴らしいご講演でした。画像データを診断のみではなく、VR (仮想現実)やAR (拡張現実)、MR (複合現実)を総称したXRを手術手技のシミュレーション演習やカンファレンスへの応用、更に実際の医療現場でウェラブル端末を用いたホログラムによる手術支援や医療用ナビゲーションシステムと組み合わせて活用している実例と研究内容を拝聴しました。また、COVID-19感染症によってオンライン診療や遠隔医療に関する規制が緩和されてきていることもあり、新しい商用移動通信技術である5Gの活用が進んでいるとのことで、大量のデータを短時間でやりとりできるメリットは極めて大きい反面、安全性や対応装置の普及などの課題もあり、迅速なインフラ整備が期待されています。これからの先進的な外科手術やIVRの術者支援にCT volume dataがこれまで以上に大きく関わっていくことがとても嬉しく思いました。

教育講演では、札幌医科大学附属病院の平野透先生より「脳外科手術の画像支援するための取り組み」をテーマに、平野先生の施設における環境と医師が必要とする画像を常に正確に提供する医療者としての責務を学びました。脳血管領域の3次元画像は、微細血管の描出、動静脈分離、実質、骨、脳表などの情報を融合した画像が基本となります。中でも動静脈分離は複雑で、かなりの手間と時間を要する作業になりますが、動脈優位相と静脈優位相の2相撮影と動脈のCT値がピークに達したタイミングでの1相撮影について、平野先生が考えるそれぞれの利点・欠点を述べられており、画像提供に対する姿勢や考え方は「患者さんのために」を原点に考えていくべきという言葉が心に響きました。診療科医師の要望に応えているかを評価するためにも継続したカンファレンスへの参加が重要です。当院でもいくつかの診療科カンファレンスに参加していますが、診療科医師とのコミュニケーションを大切にして、良好な関係のもとで画像作成を考えていくことが患者さんへの貢献に繋がるということを確信しました。

最後のシンポジウムでは「活かせ!Volume Data」をテーマに、脊椎手術支援、肺がん手術支援、大動脈ステントグラフト挿入術支援、大腸手術支援、シン・泌尿器領域手術支援のご講演がありました。CTや他モダリティで得られたvolume dataから価値ある画像を作成することついて、臨床的背景からCTの役割を明確にし、手術のポイントと具体的なVR作成方法を示されており、更に最新の知見を合わせた内容は大変勉強になりました。それぞれの領域で、必要な部分だけをどれだけシンプルに分かりやすく作成することができるか、そして仮想的な術中・術後イメージの提示、CT値の変化を捉えた病態予測まで付加価値を与える工夫に大変感心させられました。

 

抄録集にあるCTサミットの歴史を拝見しますと、1996年に岐阜県で開催された第0回から2019年に刈谷市で開催された第23回まで、一度も欠かすことなく毎年開催されておりました。本来、昨年の2020年に開催予定であった第24回は、残念ながらCOVID-19感染症の影響で翌年である本年2021年に初の延期となり、新潟市での現地開催も叶わずweb開催となりました。日常生活や社会活動に大きな影響を与えているCOVID-19感染症はCTサミットにも大きな影響を与えています。次回、第25回CTサミットは当番世話人をつくば国際大学の梁川範幸先生、実行委員長を千葉市立海浜病院の高木卓先生が務められ、2022年7月30日に首都圏(千葉)で開催されます。まだまだ先の読めない状況ではありますが、web開催だけでなく汗をかきながら現地へ赴き、会場にてCTへの熱意を存分に浴びることができるよう心から願っております。

聖マリアンナ医科大学病院 画像センター

小川 泰良